もぐもぐちゃんよ。

何でも書きます。まかせなさい。

梅田のオアシス(ちょい渋め)

 

大阪駅前ビル。

あのビルの、ほどよく寂れた感じが好きなのです。

ご飯などいろいろ名店もあるそうだが、わたしが行くのはもっぱらマッサージ店。マッサージといったら、わたしの中ではもう大阪駅前ビルがパッと浮かぶほどにはお世話になっている。

 

以前行ったマッサージ店では、ホットアイマスク(使い捨てではなく、温め直しがきく方)を無料オプションでつけてくれたのだが、そのマスクはなぜかわたしの喉の上に置かれた。

ちなみに化粧はバッチリしていたので、目の存在感がなかったわけではない、と主張しておきたい。

片言の外国人スタッフがあれこれ気を遣いながら、一所懸命マッサージしてくれたのだが、ホットでアイに置かれるはずだったマスクが終始気になって仕方なかった。マッサージは気持ち良いのに、喉がそこはかとなく苦しくて、目隠しをされていないものだから照明が眩しい。

いつ移動するのだろうと気になっていたアイマスクは、結局最後までわたしの喉の上に鎮座していた。

よく喋るわたしの性格を見破り、あえて喉の上に置くというミラクルかつパーフェクトな対応だったのかもしれない。労るべきは喉だと。

たぶん、というか絶対、そうじゃないとは思うけど。

 

今日は最近よく通っているマッサージ店に行ってきた。よく通っている、と言っても最近は梅田に出る用事がまったくなかったため、常連とまではいかない。たまにふらりと現れる、何となく顔が分かる客、ぐらいの立ち位置だろう。ちなみに、ホットアイマスク解釈違い事件の店とは別である。

そのお店も、外国人スタッフが多く在籍している。恐らく半々ぐらいの割合ではなかろうか。

ちなみに、わたしは仕事さえしてくれれば国籍に興味はないし、むしろ外国人スタッフの方がお世辞を言ってくれたりするので好きだ(昔、天六のマッサージ店で「お姉さん、ハーフ?綺麗ね」とずっと言い続けてくれた外国人女性には思わず照れたが)。

わたしは顔や頭をマッサージされるのが好きなので、今日ももちろんセットでお願いした。

今日は外国人の、30代後半〜40代ぐらいの、気の良さそうなニコニコした女性が担当してくれるらしい。この店に入りたてなのか、少しぎこちなかったが、終始ニコニコしながらいろいろと気遣いをしてくれたのが嬉しかった。

 

しかし、彼女もそれだけでは終わらなかった。

背面をほぐしてもらって、ぐるりと仰向けになる。そうすると「お化粧とれるかな?」と聞くので、「大丈夫ですよ」と答える。

「ウン」と言うやいなや、彼女はタオルも何もなく素手でわたしのおでこに手を置いた。そして横にす、と滑らせる。

えっ、ちょっと待って、と。触られることに対する嫌悪感はなかったが、それよりも化粧直しもしていない、皮脂でギトギトになっている顔を触らせるのが申し訳なさ過ぎるのだ。

感染症がどうたらこうたらと騒いでいるこのご時世に、まさかの素手。しかし上手い。頭皮のマッサージがメチャクチャ気持ち良いのだ。

失礼とも何とも思わないから、「ギトギトで気持ち悪い」と思ったらタオル越しにしてくれていいですよ、と言うタイミングもなく、結局おでこ全開(帰りは前髪が超サイヤ人みたいになった)、顔面ギトギトのままマッサージは終わった。

最後に軽くトントンと肩を叩いてくれるのだが、「髪綺麗ね」「どこで切ってるの?」「似合ってる」とあれこれ褒めてくれたのが嬉しくて、一応いつも行っている美容室と担当してくれているお兄さんの名前を伝えた。

 

これだから大阪駅前ビルはやめられない。

やっぱりオアシスなのだ。

と言っても、いろんなマッサージ店に行っているわけではないから、まだまだきっといろんな出会いもあるのだろうが、そもそもの目的はあくまで「コリをほぐしてもらうこと」である。

その目的にたどり着くまでの道中にドラマ(?)があるのだ。それに、良くしてくれる店にはやはり通いたいと思う。

接客業はどうにも難しい仕事だし、わたしには向いていないと結論は出た。変なところで繊細で、めんどくさくて理屈っぽい。こんな店員絶対イヤだ。我ながらそう思う。

 

楽しいマッサージ店もある。

美味しいご飯もたくさん食べられる。

分煙されてるのかどうなのか分からない純喫茶も、よく分からないアダルトショップも、突然現れるコンビニも。

ユートピアではないけれど、おしゃれな空気に染まりきれないあの空間は、わたしにとってオアシスなのだ。